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SPOTLIGHT /
特別取材

TAKE FIVE / 箸休め 2026.05.29
SPOT LIGHT

日本での経験と信頼を胸にベトナムで夢の扉を開く

 日本で腕を磨いた外国人材が、母国でどんな一歩を踏み出しているのか。 かつて東京都の日本室内設備工業株式会社でクロス職人として活躍したタインさんの「帰国後」をご紹介します。

PROFILE

タイン さん(34歳)
ベトナム人
日本滞在期間:7年
出身:ベトナム
2024年9月23日取材当時
SPOT LIGHT | LE VAN THANH さん
LE VAN THANH

夢を現実に変えた
7年間の蓄積

帰国してベトナムで起業しようと決めたのはいつ頃ですか?

 日本に来る前から、いつか自分の会社を持ちたいという気持ちはありました。具体的に動き始めたのは、帰国する2年ほど前からです。どんなビジネスにするか、どこで開業するか、日本にいながらリサーチしていました。着想を得たのは、日本の大手生活用品チェーンです。何でもあるお店を見て、自分にもできるのではないかと思いました。将来はそのお店くらい大きくすることが目標です。2023年のベトナムの正月に帰国し、工業団地に近い好立地に店を構えました。

夢を現実に変えた7年間の蓄積
今の仕事と、日本での経験はどうつながっていますか?

 扱っている商品の8割はベトナム製で、残りは日本製品などの輸入品です。日本製品はベトナムでも人気があって、日本の有名ブランドの洗剤やキッチン用品もよく売れています。仕入れは大きな問屋から、卸先はレストランや小売店など固定客だけで20社以上。最初はお客さんが来ない日が一番大変でしたが、市場調査の専門家を雇って分析し、地道に飛び込み営業で販路を広げました。日本での現場経験が、商品を選ぶ目と、粘り強く働く姿勢を鍛えてくれたと思っています。

日本室内設備工業株式会社との関係は、今も続いているのですか?

 起業することは、帰国するまで社長には言っていませんでした。辞めると伝えた時、社長はびっくりしていたと思います。でも今も定期的に連絡を取り合っていて、2週間前もホーチミンで会いました。「ベトナムで仕事をする時は手伝って」と言ってもらっていますが、今はまだ自分の商売で手いっぱいで。将来は、お互い社長同士で一緒に何か新しいビジネスができたらと思っています。

今後の夢を聞かせてください

 将来はたくさん店舗を展開することを考えています。次の出店計画も、すでに動き出しています。在庫管理から市場調査、営業まで今はほぼ自分でやっていますが、いずれはもっと人を育てて、任せられる組織にしていきたいです。今一番のやりがいは、お客さんが気持ちよく帰っていく姿を見ること。このお店が作れたのも、日本でお金を稼いで貯めたから。日本での7年間があったから、今の自分があります。

筆者コメント

 働く後ろ姿は、日本で丁寧にクロス貼りをしていた時を思い出させる、自信に満ちあふれたものでした。初めての就職が日本の会社だった彼にとっては、日本での何気ない一日一日が成長につながっていたはずです。日本のクロス商材をベトナムで販売する日が来ることを願っています。

History

history
  • 来日前
  • 建設の道へ一直線
     卒業後は日本の建設業で働くという目標をもって大学に入学。建築を学べる学部を専攻した。
  • 入社
  • 技能実習 1〜3年目
  • 建設就労者 1〜2年目
  • 特定技能 1年目
  •  2021年2月、特定技能1号を取得。職人として腕を磨きながら、帰国後の起業を描き始めた。
  • 帰国
  •  日本生活を終え、2023年に帰国。母国での新たな挑戦への準備をスタートさせる。
  • 起業準備 1年目
  •  工業団地に近い好立地を見つけ、7年間の貯金を元手に開業資金600万円の用意に奔走。
  • 店舗経営
    2年目
  • 夢に見た自分の店を
    本格始動
     自ら飛び込み営業で卸先を開拓し、固定客は20社以上に。月商150万円規模へと成長させた。
  • 現在
    3年目〜
  •  母が夜の店番を担い、倉庫スタッフや配達員も雇用。多店舗展開を目指して、次の計画が動き出している。