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HINT / 共生のヒント

helpful / お役立ち 2026.05.29
共生のヒント

育成就労制度の現状

 技能実習制度に代わる「育成就労制度」の開始に向け、制度整備や申請手続きが本格的に動き出しています。今回は、施行までのスケジュールや現時点での準備状況を整理するとともに、監理団体や実習実施者が今から検討・対応すべきポイントを解説します。

弁護士法人 Global HR Strategy 代表社員弁護士 杉田 昌平 さん

弁護士法人 Global HR Strategy
代表社員弁護士
Shohei Sugita
杉田 昌平 さん

 弁護士(東京弁護士会)、入管届出済弁護士、社会保険労務士、行政書士。慶應義塾大学大学院法務研究科特任講師、名古屋大学大学院法学研究科日本法研究教育センター(ベトナム)特任講師、ハノイ法科大学客員研究員、独立行政法人国際協力機構国際協力専門員(外国人雇用/労働関係法令及び出入国管理関係法令)、法律事務所勤務等を経て、現在、弁護士法人 Global HR Strategy 代表社員弁護士、慶應義塾大学大学院法務研究科・グローバル法研究所研究員。

はじめに

 2024年6月に、技能実習制度を育成就労制度に改正する法律が成立しました。その後、2025年9月30日には主務省令である育成就労法施行規則等が公布され、制度の施行に向けた準備が着実に進められています。
 本稿では、約1年後に本格的な開始を迎える育成就労制度について、現時点における施行準備の状況を概観するとともに、今後必要となる対応事項を整理します。

現時点の施行に向けた準備状況

 育成就労制度の施行に向けた制度整備の状況は、表1のとおりです。
 2023年は制度改正の検討、2024年は法整備、2025年は法律より細かい主務省令等の整備と位置づけられます。一方、2026年は、4月15日から監理支援機関の許可申請の事前受付、同年9月1日から育成就労計画の事前受付が開始されるなど、制度を実装する年といえます。

表1 育成就労制度の施行に向けた制度整備の状況

表1 育成就労制度の施行に向けた制度整備の状況

監理支援機関の許可の事前申請

 2026年4月15日からは、監理支援機関の許可の事前申請受付が開始されます。育成就労制度において監理支援を行うためには、監理支援機関の許可を得る必要があります(育成就労法23条1項)。これは、技能実習制度における監理業の許可を持つ監理団体についても同様です。したがって、監理団体も含めて、育成就労制度での監理支援を行うためには監理支援機関の許可を取得する必要があります。施行日から円滑に事業を開始するため、許可申請は施行日前から受け付けられることとなり、2026年4月15日より受付が開始されます。
 許可申請にあたっては、法人の種類によっては定款に監理支援事業を明記する必要があるなど、事前準備が求められます。
 また、2027年4月1日から監理支援事業を開始する場合は、2026年9月30日までの申請が望ましい旨が外国人技能実習機構から示されています。そのため、遅くとも同日までに申請を行う必要があります。

育成就労計画の認定申請

 育成就労制度の施行に向けた準備として、2026年中に開始されるもう一つの取組みがあります。2026年9月1日から受付が開始される、育成就労計画の認定についての事前申請です。これも、制度開始後の円滑な運用を目的として、施行日前から認定を行うものです。
 2026年9月1日から育成就労計画の認定の受付を開始するということは、育成就労外国人の候補者との面接は、それより前に開始されることになります。
 また、実際に育成就労計画を作成する場合には、転籍制限期間(最長2年)をどのように設定するか、入国前・入国後講習や3年間の日本語教育をどのように実施するかといった点を事前に決定する必要があります。
 特に、転籍制限期間を上限である2年とする場合には、1年目から2年目への移行時に昇給が義務付けられます。
 日本語についても、一定の試験に合格していない場合には、認定日本語教育機関の就労課程において日本語を勉強する必要がある等、技能実習制度にはなかった対応が求められます。
 そのため、育成就労計画の認定申請を行う場合には、上記のような転籍制限期間や日本語教育などについて予め決定したうえで手続きに進む必要があるといえます。

現段階において取り得る事項

 2026年春時点において、監理団体及び実習実施者が取り得る事項については、次のとおりです。

1 監理団体
 監理団体が監理支援機関になる場合には、2026年4月15日から開始される監理支援機関の許可申請に対応していくことになります。定款の変更や送出機関との協定の締結など、監理支援機関の許可申請に必要な準備を進める必要があります。
 また、監理支援機関の許可申請後については、実習実施者に対して、移行のスケジュールを案内していくことも重要です。2026年は育成就労制度と技能実習制度の手続きが並行する初めての年です。そのため、実習実施者の混乱を防ぐという観点からも、いつから育成就労での面接や計画認定申請が開始するか、いつまでに技能実習制度での面接や計画認定申請を行うかを案内すべきでしょう。

表2 育成就労制度移行へのスケジュール

表2 育成就労制度移行へのスケジュール

2 実習実施者(受入企業)
 実習実施者にとって重要なのは、2026年の採用において技能実習制度で採用するのか、育成就労制度で採用するのかの検討です。技能実習制度は人材育成及び国際貢献が目的の制度であり、育成就労制度は人材育成と人材確保を目的とする制度です。つまり、両制度は目的が異なります。2026年は両制度の手続きが並行することになるため、受け入れる実習実施者においても、採用をどちらの制度で行うかを選択する必要があります。
 また、育成就労制度での採用を行う場合には、技能実習制度ではなかった日本語教育への対応が必要となるため、事前の体制整備が求められます。

まとめ

 このように、2027年4月1日の育成就労制度の開始に向けて、いよいよ制度を実装するための準備が始まりました。
 誰も取り残さない円滑な育成就労制度への移行のためにも、関係者がそれぞれの立場で協力しながら準備を進めることが重要だといえるでしょう。