インドネシアの地方にチャンスを
日本の建設業務説明会を各地で開催
JACではインドネシアの地方都市を中心に日本の建設業や特定技能制度を紹介する説明会を行っています。担当しているのは、インドネシア出身のジャロットさんです。自身も地方出身で、困難な学生時代を乗り越えてきた経験をもつジャロットさんは、「情報さえ届けば変われる」ことを知っています。だからこそ、遠く離れた村にも足を運び、一人でも多くの若者に「未来への選択肢」を届けようと奔走しています。
担当者:JAC事業部 ジャロット
地方の学校をまわり、日本の建設業を伝える
活動の概要について教えてください
インドネシア各地の高等専門学校(SMK)を回り、日本の建設業や特定技能制度について説明する活動を行っています。訪問先は首都ジャカルタのような都市部ではなく、地方の学校が中心です。なぜなら、インドネシアには日本の約4倍の若者がいて、地方にも多くの優秀な人材が眠っているからです。しかし、そうした人たちは都市部に比べて情報が届きにくく、日本で働くという選択肢自体を知らないまま過ごしていることが少なくありません。そこで、2024年度から現地訪問を本格的に開始し、本年度は7カ所を訪問する予定です。
説明会ではどのようなことを伝えているのですか?
私が説明会で伝えている日本の建設業の特徴は、大きく3つあります。第一に「賃金の高さ」。第二に「安全対策が徹底されていること」。そして第三に「キャリアパスがあること」です。インドネシアの建設現場は日当制で、保険もなく、道具すら支給されないことが多いですが、日本では安全衛生保護具の貸与や現場での朝礼、安全衛生教育が当たり前にあります。日本とインドネシアの違いを、できるだけ具体的に伝えるようにしています。
どのように説明しているのですか?
動画やスライドを使って視覚的に伝えることを重視しています。説明の最初には、日本の現場の映像を見てもらい、その後に私が言葉で補足します。そして最後は質疑応答です。年齢制限や学歴、宗教への配慮、女性の就労機会、安全性など、多くの質問が寄せられます。それらに一つずつ丁寧に答えるようにしています。
参加者は主に、進路指導や就職支援、建設分野の教員や担当者などです。こうした学校関係者が制度を正しく理解すれば、校内で継続的に情報が共有され、生徒への支援にもつながるからです。ただ、今後は生徒や卒業生に対しても、直接情報を届ける取組みを進めていきたいと考えています。
説明会に耳を傾ける教員
自らの経験が、活動の原動力に
この仕事に取り組むうえで、大切にしている思いはありますか?
私自身が、地方出身で苦しい学生時代を過ごした経験があるからこそ、地方の若者たちの力になりたいという思いがあります。高校進学直前に父を亡くし、学費の支払いができず進学をあきらめかけたこともありました。ですが、父が生命保険に加入していたおかげで何とか入学できました。
そこからどうやって高校生活を乗り越えたのですか?
毎月の学費を払うのが大変で、何度も辞めようかと思いました。そんな私を支えてくれたのが先生たちです。「お金に困ったら言ってください」と言ってくれて、私はその言葉に励まされ、自分の力で何とかしようと、アルバイトをして学費を稼ぎました。また、学校で行われた化学の大会で優勝し、賞金を学費に充てることもできました。こうした経験があるからこそ、「あきらめなければ道は開ける」と心から信じています。学生たちに「日本で働ける道がある」と伝えることが、きっと未来を変える一歩になると信じています。
説明会後にも質問
若者にも企業にも、正しく情報を届けたい
今後はどのような展開を予定していますか?
2025年度の冬をめどに、SMKと連携して生徒や卒業生などを対象にした「ウェビナー(オンライン説明会)」を実施していく予定です。現地のスマートフォンで手軽にアクセスできるようにし、学校側には「視聴を広めてください」とお願いする形で普及を図ります。
現在、感じている課題があれば教えてください
インドネシア人を受け入れている日本企業は、まだまだ少ないと感じています。応募者は多い一方で、求人が限られている背景には、インドネシア人に対する情報不足や宗教的・文化的な違いへの不安があるように思います。「お酒を飲まない」「断食がある」といったことが懸念されるケースもありますが、職場環境や業務の工夫によって、実務上は十分に対応できる場面も多いと感じています。
今後は、専門工事業団体と協力して現地で日本の建設の技を伝えるワークショップなどをしていきたいです。また、日本の企業に向けては、インドネシア人材の特性や魅力、制度の仕組みなどをわかりやすく伝え、受入れの裾野を広げたい。まだ活動は始まっていませんが、これは私にとって次の大きな目標です。
ジャワの伝統的なブランコン(Blangkon)と呼ばれる帽子をかぶって
■ イベント出展のご報告
イベント名:INDONESIA-JAPAN FRIENDSHIP FESTIVAL 2025
(日本インドネシア市民友好文化フェスティバル)
JACは、2025年10月18日(土)~19日(日)に東京·代々木公園で開催された「INDONESIA-JAPAN FRIENDSHIP FESTIVAL 2025」に出展し、建設業の魅力や特定技能制度についてインドネシア人来場者を中心に情報発信を行いました。当日は、動画やチラシなどを通じた紹介のほか、アンケート調査を実施。アンケート結果を踏まえて、来年度の施策につなげていく予定。引き続き、こうした取組みの進捗についてもお伝えしていきます。