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MESSAGE / インタビュー

SPECIAL / スペシャル 2024.03.29

受入企業との連携を強め、
世界から優秀な人材が
集まる国を目指す

JAC理事長 三野輪 賢二 Kenji Minowa

JAC理事長 三野輪 賢二 Kenji Minowa

『建技人ーKEN GI JINー』創刊にあたって、JACの三野輪賢二理事長に機関誌を立ち上げた経緯や思い、また今期活動の方向性や会員に向けたメッセージなどを伺いました。

聞き手:JAC編集部 2023年8月2日取材

特定技能は
技能実習の
延長ではない
今回の『建技人ーKEN GI JINー』創刊の経緯を教えてください

 JACは今期で設立5年目を迎えました。外国人就労者と建設企業とのつながりを円滑にし、互いによりよく働ける環境を整備することを目指し、ゼロから手探りの状況でスタートした当機構も、おかげさまで約1万5,000人の特定技能外国人を支援するまでになり、受入れの上限である3万4,000人の到達も視野に入ってきました。ですが、これまで急速に事業規模が拡大してきた影響もあり、JACの活動内容についてあまりご理解いただけていない方が多数いるという課題も持ち上がっています。もちろんJACのホームページでは取組み状況や支援情報を発信していますし、ダイレクトメールや特定技能導入事例集「Visionista」では受入企業の好事例などをお伝えしています。しかし、まだまだ当機構の活動内容が見えにくいという声が届いていることも事実です。そのすべては、当機構からの情報発信が足りていないことや、コミュニケーション不足に原因があると考え、この度のJAC機関誌である『建技人ーKEN GI JINー』を発刊する運びとなりました。

今期はどのような取組みに注力していますか?

 今年度は受入れ支援サービスの拡充に力を入れています。その一つが、日本語講座の無料提供です。技能実習生から特定技能へ移行した外国人のなかにも日本語が不得意な方は意外と多く、コミュニケーションに困っている企業は少なくありません。日本語講座の無料化は昨年度から開始していましたが、今年は参加枠をさらに増やしています。また「一時帰国支援」では、2年以上同一の受入企業で働いている1号特定技能外国人を対象に、一時帰国に必要な費用について1人当たり5万円を支援しています。そして、受入企業が支払っている管理者ID利用料年間1万1,400円と、1号特定技能外国人の能力評価手数料1人当たり4,000円をJACが全額負担する建設キャリアアップシステム(CCUS)の手数料支援も行います。

取組みのなかで懸念点を挙げるなら、どんなことがありますか?

 残念ながら、特定技能を技能実習の延長線上と捉えている企業は少なくありません。そこで問題なのが、いわゆる低賃金で雇用を確保できる制度として利用しようと考える企業がいることです。しかし、そうした考え方で技能実習生を迎え入れた結果、不法就労問題が起きたり、日本人による暴行事件が起きたりと、トラブルに発展したケースもあります。現実として日本人を雇用したくても応募がない企業はたくさんあって、外国人就労者に頼る以外に方法がないという実情もあるわけです。そこで我々が団体として提唱しているのが、働きに見合った正当な賃金を支払い、迎え入れるための生活環境を整えて、海外からより優秀な人材を確保する。これを広くアピールしていく必要があると考えています。

JAC理事長 三野輪 賢二 Kenji Minowa
彼らは母国ではなく日本を選んで働いている
より優秀な特定技能外国人を雇用するために必要なことは?

 現在は円安の影響もあり、他国で働くほうが稼げるという状況が起きています。実際に、韓国やオーストラリアは日本よりも賃金が高く、就労先として外国人就労者から選ばれているようです。このままでは遠くない未来、日本の建設企業は日本人の雇用を確保できないだけでなく、外国人材も獲得できないといった事態が起きかねません。今から危機感を持ち、外国から就職先として魅力的に感じる労働環境を整えることが非常に大事になります。日本は社会資本の整備が世界と比べても進んでいます。交通インフラや公共施設が充実しており、外国人が生活してみて満足できるものがあると思っています。そして、日本人の国民性も魅力の一つになっているはずです。日本で技能実習生として来日した外国人が「また来たい」と、特定技能として働くことを選ぶケースは増えており、その人数は年々増加しています。その背景には、受入企業との交流や人柄による結びつきがあることは間違いないでしょう。

特定技能2号へ移行する人数も徐々に増えています

 現在、11名が特定技能2号に移行していますが、これは特筆すべきことです。彼らは各職種による一級技能士の試験に合格して2号になっているのですが、その試験で行われているのが漢字を含む日本語のペーパーテストです。もちろん翻訳はなく、問題を読むには日本語能力試験のN1をもっていないと難しいレベルといえます。そうした試験を彼らはパスしたわけです。これは今の日本にはそれだけ優秀な外国人が集まっているということの証ではないでしょうか。

最後に、受入企業へメッセージをお願いします

 私は特定技能外国人の多くは、かなりの覚悟を持って日本で働いていると思っています。2号を目指している方や、すでに移行した方々ならなおさらです。なぜなら彼らは異国での生活を決意し、永住も視野に入れて来日している。言い換えれば、生きる場所として母国ではなく日本を選んでくれたということでしょう。相当強い気持ちがないとそうした決断はできないはずです。そんな彼らをスムーズに受け入れられるように、私たちJACはさらなる支援活動の拡充を進めていきます。それには受入企業の協力が欠かせません。建設業により優秀な人材を世界から集められるよう、今後ともぜひ力をお貸しいただければ幸いです。