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HINT / 共生のヒント

helpful / お役立ち 2025.05.30
共生のヒント

建設業における
外国人雇用の状況

 2025年3月14日に発表された在留外国人数は、2024年末時点で約376.9万人と過去最多となりました。日本で暮らす外国人の現状や雇用の実態に加え、建設業における外国人雇用の状況についても詳しく見ていきます。

弁護士法人 Global HR Strategy 代表社員弁護士 杉田 昌平 さん

弁護士法人 Global HR Strategy
代表社員弁護士
Shohei Sugita
杉田 昌平 さん

 弁護士(東京弁護士会)、入管届出済弁護士、社会保険労務士。慶應義塾大学大学院法務研究科特任講師、名古屋大学大学院法学研究科日本法研究教育センター(ベトナム)特任講師、ハノイ法科大学客員研究員、法律事務所勤務等を経て、現在、弁護士法人 Global HR Strategy 代表社員弁護士、独立行政法人国際協力機構国際協力専門員(外国人雇用/労働関係法令及び出入国管理関係法令)、慶應義塾大学大学院法務研究科・グローバル法研究所研究員。

日本に住み、働いている外国人

 『令和6年末現在における在留外国人数について』によると、日本に住んでいる外国人は2024年12月末に376万8,977人になります。また、2025年1月31日に公表された『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)』によれば、日本で働いている外国人は230万2,587人で、こちらも過去最高となっています。
 日本に住んでいる外国人と日本で働いている外国人の推移をまとめると図1のとおりです。

図1 在留外国人数・雇用状況の届出数(筆者作成)

図1 在留外国人数・雇用状況の届出数(筆者作成)

 規模を把握しやすくするために日本で働いている外国人と日本全体の派遣労働者の数を比較してみます。派遣労働者の数は『令和4年労働者派遣事業報告書』の集計結果によれば約215万人となっているため、日本全体の派遣労働者数より日本で働く外国人数の方が多く、外国人雇用の重要度が日本でますます高まっていることがうかがえます。
 続いてご注目いただきたいのは、その増加数です。日本に住んでいる外国人は2023年12月末に341万992人でしたが、1年後の2024年12月末には376万8,977人となり、1年で35万7,985人増加しました。また、日本で働いている外国人は2023年10月末には204万8,675人でしたが、2024年10月末に230万2,587人となり、25万3,912人増加しました。
 それぞれの数字を把握しやすくするために都道府県と市区町村の人口と比較すると図2のようになります。
図2 在留外国人数・雇用状況届出数と地方自治体の規模の比較(e-Statより)

図2 在留外国人数・雇用状況届出数と地方自治体の規模の比較(e-Statより)

 日本に住んでいる外国人の全数は、静岡県の人口約355万人を上回る数字になりました。1年で約30万人を超えて増加しているため、2025年末には400万人に達する可能性があります。
 日本に住んでいる外国人の増加数である35万7,985人について、匹敵する規模の地方自治体を見てみると、和歌山県和歌山市(35万6,729人)や奈良県奈良市(35万4,630人)で、いずれも県庁所在地です。
 日本で働いている外国人の増加数である25万3,912人について匹敵する規模の地方自治体を見てみると、山口県下関市や徳島県徳島市があります。徳島市についても県庁所在地です。
 このように1年に1つ、県庁所在地級の都市が増加する速度で日本に住む外国人が増加しています。
 そして、2022年、2023年、2024年に増加した外国人数を見てみると100万8,342人となり、3年で100万人の受入れを行っていることがわかります。年平均33万人の受入れを行っていることになります。
 この1年に33万人という規模で見てみると、2年経過すると静岡県静岡市や千葉県船橋市、鳥取県、島根県、高知県、徳島県に匹敵する規模となります。
 このように、日本では非常に多くの外国人が新しく日本に住み、働くことを選択していることがわかります。

建設分野の外国人雇用について

 では、建設分野ではどの程度の外国人が働いているのでしょうか。手がかりは、技能実習・特定技能の在留者数と雇用状況の届出の産業分野の内訳にあります。

(1)技能実習・特定技能の在留者数
 建設業において建設業務に従事することができる主な在留資格としては、技能実習および特定技能になります。ですので、この2つの在留資格を見てみると、建設分野で技能者として働いている人数を把握することができます。

①技能実習の職種作業別の人数
 技能実習制度における職種・作業別の人数は、令和5(2023)年12月末時点の数字が最新の数字となります。
 建設関係については22職種33作業あわせて9万2,015人となっていて、詳細な内訳は図3のとおりです。

図3 職種・作業別人数(出典:入管庁ウェブサイトより)

図3 職種・作業別人数(出典:入管庁ウェブサイトより)

 技能実習全体の数が40万4,556人で、技能実習全体の約22.7%を建設業関係が占めていることがわかります。

②特定技能の建設業の人数
 『特定技能制度運用状況(令和6年12月末)』によれば、2024年12月末時点における特定技能制度での在留者数は28万4,466人となっています。そのうち、建設業分野3万8,578人であり、特定技能1号の在留資格で在留する方が3万8,365人、特定技能2号の在留資格で在留する方が213人となっています。
 技能実習制度の在留者の統計時点が異なるため、単純な合算をしにくいところですが、両者をあわせると、おおむね13万人の外国人技能労働者が日本で働いてくれていることになります。

(2)雇用状況の届出の産業分野の内訳
 もう一つ別の観点から建設分野で働いている外国人の分析をしてみたいと思います。雇用状況の届出については雇用状況の届出の対象となっている外国人230万2,587人について、産業別の数と割合が公表されています(図4)。

図4 産業別外国人労働者の割合(出典:厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和6年10月末時点)』)

図4 産業別外国人労働者の割合(出典:厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和6年10月末時点)』)

 建設業分野で働いている外国人は17万7,902人で、これは事務職や技術職を含めた数字です。先の技能実習制度・特定技能制度での在留者数の数はおおむね技能労働者の数と一致すると考えると、建設分野では、約13万人の技能労働者、約4万8,000人の技術者・事務職として外国人が働いていることがわかります。

建設分野における外国人雇用の将来

 独立行政法人国際協力機構(JICA)が行った『2030/40年の外国人との共生社会の実現に向けた取り組み調査・研究報告書』によれば、2040年には建設業全体の外国人労働者数の需要は49万8,000人になるとされています。現時点からすると、約2.8倍になる規模です。ですが、3年で100万人の外国人が新しく日本に住むことを選択している現状では、あり得ない数字ではありません。建設分野では、「外国人材とつくる建設未来賞(国土交通大臣表彰)」を設け、他分野に先行して職場における共生の在り方を考えています。
 さまざまな国から来てくれている外国人と日本人とがともに建設業を発展させていく、その一歩一歩が積み重なっている最中であるといえます。