全国の受入企業を取材していると、仕事の時間外に行っている興味深い独自の取組みに出合うことがあります。その内容は、ユニークなものから画期的なものまで、各社さまざま。ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか?
矢島鉄筋工業株式会社
所在地:東京都墨田区立花5-12-5
事業内容:鉄筋工事/鉄筋加工及び組立工事施工 ほか
私たち日本人にとって親しみのある伝統行事のひとつが「餅つき」です。矢島鉄筋工業株式会社では、日本の文化に触れてもらおうと、特定技能外国人や技能実習生も参加。杵を振るい、つきたての餅を味わいながら、国籍を超えた交流を深めています。その取組みについて、同社の矢島社長にお話を伺いました。
聞き手:JAC編集部 2025年2月26日取材
伝統行事でつながる心
「餅つき」が生む交流の輪
代表取締役社長
矢島 孝夫 さん
餅つき大会はいつから始まったのですか?
約20年前から続けています。もともと建設現場では、年末になると仕事納めとして餅つきをする習慣がありました。職人同士が集まり、交流を深める大切な機会だったんです。しかし、時代とともにそうした習慣がなくなり、現場でもやらなくなってしまいました。それでも、コミュニケーションの場として必要だと考え、自社で続けることにしたのがきっかけです。
餅つき大会当日は、どのように進めているのですか?
2024年の年末は、加工場の社員約25名に加え、特定技能外国人や技能実習生たちも10名ほど参加しました。餅つきは、ただ杵でつくだけではなく、前日から準備が必要です。米をといで蒸す作業もあって、これらは外国人のみんなも手伝ってくれますね。私も豚汁を作って、みんなで食べられるようにしています。当日は約240kgの餅をついて食べ、最後には参加者全員に手土産として持ち帰ってもらいました。
外国人の皆さんの反応はいかがですか?
初めて参加する特定技能外国人や技能実習生は、見よう見まねで杵を振るいながら餅つきを楽しんでいます。つきたての餅はやはり格別で、みんな食べるのを楽しみにしています。日本の文化に触れながら、社員同士の交流の場にもなっているのが、この餅つき大会の魅力のひとつです。
杵さばきも板についている
地域や日本人社員との交流はありますか?
餅つきをしていると、近所の子どもたちもやってきて、お餅を渡したり、一緒についてもらったりするんです。自然と地域とのつながりが生まれますね。社内でも、日本人社員と外国人が一緒に杵を振るい、距離が縮まります。餅つきは息を合わせないとうまくできないので、チームワークが求められますし、一緒に準備を進めることで、より親しみが増していきます。
餅つき大会で印象に残っていることはありますか?
過去には、杵が割れてしまうハプニングがありました。ほかにも、餅を長時間触ると手がふやけて爪が柔らかくなるなど、意外な苦労もあります。米の炊き加減も毎年試行錯誤が必要です。でも、そうしたトラブルや苦労もすべて大切な思い出です。特定技能外国人や技能実習生にとっても、日本の文化を体験しながら学ぶ、貴重な経験になっているのではないでしょうか。
文化交流で大切にしていることは?
外国人たちが日本で働く目的は技術を学び、収入を得ることですが、日本の文化を体験し、思い出を作ることも大切です。日本の良さを感じられる機会を提供することも企業の役割だと考えています。建設業は、人が力を合わせて成り立つ仕事です。だからこそ、「ご苦労さま」「ありがとう」というねぎらいを忘れてはいけません。レクリエーションは交流を深め、職場の雰囲気を良くします。ほかの企業にも、ぜひ取り組んでほしいですね。